あなたにも起こるかもしれない相続問題の実例についてお話します。

相続人の中に海外在住の家族がいた場合の手続きは?

今回は、海外在住の相続人がいる場合の手続きについてご紹介します。

以前ご主人を亡くした奥様Aさんより、相続の相談がありました。内容は遺産分割協議書についてです。
ご主人は交通事故で亡くなったそうです。日頃は病気などしたこともなく健康でしたので、相続のことは全く考えておらず、遺言書も作成していなかったとの事です。Aさんはご主人の死後、一人で色々な手続きをしていたのですが、ある日ご主人名義の口座がある銀行に行き預金を解約しようとしたところ、遺産分割協議が終わったかと確認されたそうです。
Aさんは何のことか分からず、慌てて私のところへ相談に来たとのことでした。

海外居住者の場合、遺産分割協議書に必要な印鑑証明書は?

今回の事案は、被相続人は遺言書を遺しておらず、法定相続人は3人いるため「遺産分割協議書」が必要になります。前回もご紹介しましたが、遺産分割協議書は相続人全員の同意のもと署名・捺印されたもので、「印鑑証明書」の添付が必要です。
今回問題となるのは、長女が海外居住であるという事。海外居住の相続人には「印鑑証明書」がない(日本での住民票がない)ため、あらかじめ遺産分割協議書等の署名が必要な書類を海外に送付し、「印鑑証明書」の代わりに「サイン証明」を受ける手続きが必要になります。「サイン証明」とは、海外居住者が最寄りの日本領事館に行き、領事の面前にてサインを行い、そのサインが確かに本人のものであると言うことを証明してもらう事です。ただし相続人が日本に一時帰国をし、公証人役場でサイン証明を受けることも出来ます。
今回は長女が一時帰国し、公証人役場で認証を受けたそうです。

今回の事案を振り返りあらためて感じたことは、相続はいつ起こるか分からないということ。だからこそ事前にしっかり準備(遺言書や財産の棚卸など)をしておく必要があるということです。みなさんは準備できていますか?

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