誰にでも起こりうる相続問題!
今回は、相続税対策だけではない本当の問題をお伝えします。

財産がないから相続は関係ないと思っていませんか?

相続というと、お金持ちの人の話で自分には関係ないと思っている方が多いと思います。確かにお金持ちの方は、相続税が高く納税資金をどうするかという問題が生じてきます。
しかし、本当に相続は納税資金だけの問題でしょうか?
現在相続税の対象となるのは、基礎控除額*を超えた部分です。

 *基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、配偶者、子二人の場合は4,800万円を超えた金額が課税対象となります。ですから、相続税を払わずに相続が完了してしまうケースもあります。
しかし、本当にそれだけで相続は完了するのでしょうか?

意外に多い遺産分割の訴訟事案!

相続というのは、被相続人(亡くなられた方)の大切な財産を、相続人(遺族)の方が受け継ぐということです。
例えば以下の事例の場合はどうなるでしょうか?

・自宅不動産 3,500万円 
・現 預 金 500万円
・相 続 人 配偶者、子二人(配偶者=1/2、子=1/4が法定相続分です)

相続財産は、4,000万円なので相続税はかかりません。しかし、相続というのは被相続人の財産を相続人が協議をしてそれぞれ受け継いでいくことになりますので、相続財産を分けなければなりません。
相続財産の中に自宅不動産があります。家を売却して現金化し三人でそれぞれの割合に応じて分ければ問題は起こりません。これで相続は完了です。

本当にそうでしょうか?

住む家がなくなってしまえば、今まで一緒に住んでいた配偶者の方はどうすれば良いのでしょうか?
子供達二人も思い出のたくさんある実家がなくなってしまいます。
冷静に考えれば、三人が協議をし、配偶者が自宅を、子供二人が現預金を半分ずつ相続すれば完了する話です。

しかし、世の中そんな簡単には終わりません。

平成27年度の遺産分割の訴訟事案の75%強が相続財産5,000万円以下です。(最高裁判所の「司法統計年報」より)
相続には、相続人が最低限相続できる財産として「遺留分」という制度があります。(民法1028条)
例えば上の事案で、配偶者に自宅不動産を子供達にはそれぞれ現金250万円を相続させるという遺言書があったとします。通常であれば故人の意思通りの遺産分割で完了します。
しかし先程もご紹介した通り、相続には「遺留分」という制度があります。お子様達が一定の手続き(遺留分減殺請求)により遺留分に相当する財産を配偶者に請求してくるかもしれません。
私の子供に限ってそんなことはないと思っている方も多いと思いますが、お子様も結婚をされるとそれぞれに事情が出てくると思いますし、特にお子様の配偶者の方が出てくると問題が一層複雑になる事案もあります。
解決策としては、遺留分に相当する現預金を準備し、遺留分を侵害しない資産配分を指定した遺言書を作成することです。
今から現預金を準備するのは難しいと思われるかもしれませんが、方法は色々とあります。

次回は、その方法についてご紹介します。

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