J1昇格プレーオフ決勝が12月3日、豊田スタジアムで行われました。
名古屋グランパス(リーグ戦3位)とアビスパ福岡(4位)の激突。ともに1年でJ1復帰をかける1戦に約38,000人が集まりました。
結果は0-0のスコアレスドローで、リーグ戦の上位の名古屋グランパスが見事、1年でのJ1復帰を果たしました。
1試合の重み!高まる緊張
J2リーグ戦は42試合。私はそのうち23試合をスタジアムで応援しました。風間監督が掲げる通り特別な試合はなく、すべて大切な試合であるということは分かっているものの、やはり昇格プレーオフはまったく違う特別なものでした。この90分で未来が大きく変わるのです。やはりリーグ戦とは違う特別な緊張感があり、その雰囲気はスタジアム全体からも感じられました。
アビスパ福岡のファン・サポーターも同じで、約3,000人が豊田スタジアムに押し寄せ、アウェー席は完売。今年、最高の盛り上がりの中の決勝戦となりました。
あっという間の前半45分
独特な雰囲気の中、試合が始まりました。「攻守一帯の攻撃的サッカーを掲げる名古屋グランパス」は引き分けでも昇格、「鉄壁の守りのアビスパ福岡」は勝つことが昇格条件です。J1に上がるためには得点が必要なアビスパ福岡が、序盤から積極的にプレスをかけて優勢に試合を進めます。
名古屋グランパスは防戦気味でしたが、前半13分にシャビエル選手のコーナーキックから田口選手のヘディングシュートでゴールネットを揺らしました。名古屋サポーター席は、一瞬間を開けてお祭り騒ぎに。サポーター同士が抱き合ったり、ハイタッチして貴重な先制点を喜んでいました。しかし、まさかのファールによる「ノーゴール」判定。何が起こったのかわからず混乱しましたが、気持ちをきっちりと切り替えました。その後、田口選手のミドルシュートなどチャンスはあったもののゴールはできず、前半はあっという間に終了。体感的に30分くらいの感覚でした。
いつもと違う、名古屋グランパス
名古屋グランパスは、細かくパスを繋ぎボールを相手に渡さない。そうすれば攻撃されず、失点もしないというスタイルです。その考えのもと通常は、ゴールキーバーからもショートパスで繋ぎポゼッションします。しかしプレーオフの戦いは違いました。自陣では極力リスクを冒さない戦術で、特にゴールキーパーからの繋ぎの大半は、長身シモビッチ選手にロングボールを供給。たとえボールを取られても、ハーフラインからの攻撃であれば、慌てる必要はないということなのでしょう。
リーグ戦3位で、「引き分けでも勝ちと同じ」というアドバンテージを最大限生かした戦い方でした。
なが~い、なが~い後半戦
試合は膠着状態のまま、0-0が続きます。アビスパ福岡はこのままではJ1昇格ができないため、早めの選手交代をして攻撃力を強めてきました。
後半35分あたりから心の中で「引き分け=J1復帰」を意識し始め、残り時間が気になりました。応援に集中しようとするのですが、やはり気になる・・・。
名古屋グランパスも守備を重視し始め、アビスパ福岡はパワープレー気味にウェリントン選手を軸に攻め続けます。
アディショナルタイムは5分。豊田スタジアムはアディショナルタイムになると、電光掲示板の時間が消えるのです。テレビ観戦などは経過時間が表示されており、残り時間がわかりますが、現地では自分の時計を見ない限りわかりません。この5分がどれだけ長く感じ、そしてどれだけ祈ったか。審判が時計を見るたびに「終われー!」と叫んでいました。
試合終了の合図とともにスタジアム全体が歓喜に包まれ、ベンチからは佐藤寿人選手や楢﨑選手など全員がピッチになだれ込みました。応援席では、サポーターどうしが抱き合い、うれしさのあまり泣き崩れる状態。昨年11月3日のJ2降格決定以降、唇を噛んで耐えた悔しい1年から解き放された瞬間でした。
おめでとう!名古屋グランパス
ありがとう!アビスパ福岡
名古屋グランパスは今期、フロント・選手共に多くのメンバーが入れ替わりました。当初はどうなることかと不安で一杯でした。
しかし今年は、佐藤寿人選手の加入効果もあり、チームの雰囲気もガラリと変わりました。運営サイドの方々も違いました。様々な施策と取り入れ、ファン・サポーターと向き合ってくださいました。
プレーオフ決勝戦のチケットは、ホームサポーターズシートが500円、カテゴリー4が1,000円と赤字覚悟の価格設定。その上、各所で選手やスタッフによるチラシ配り。名古屋グランパスエイトの小西社長はサポーターとの会話を大切にして、プレーオフ決勝前には、ファン・サポーターに向けた直筆メッセージを公開。このような様々な人の想いが、最高の雰囲気の決勝戦を作ったのだと思います。
今年の1年は、J2というカテゴリーで大きく「変化」し「成長」できたシーズンだったと思います。この経験は、名古屋グランパスにとって大きな財産となり、必ずや将来の飛躍につながっていくと思います。
そして同じピッチで戦った、アビスパ福岡のチームもファン・サポーターも最高でした。試合後、名古屋グランパスの選手・スタッフ一同がスタジアムを一周して挨拶する際に、アビスパ福岡サポーター席にも向かい挨拶へ行くと、拍手で祝福してくれたのです。その近くには、アビスパ福岡の選手の皆さんも見ていてくれました。来年こそは必ずJ1復帰できるよう祈っております。また対戦したいです。
<番外編>名古屋めし
試合後は表彰式や選手セレモニーなどもあり、またJ1昇格の余韻に浸っていたところ、試合後から90分が経過。アナウンスで「閉鎖」案内があり、後ろ髪引かれながらスタジアムを後にしました。さすがに空腹のため、腹ごしらえ。アウェイ戦ではご当地名物を食しているので、今日は「名古屋めし」に決定しました。
1年の締めは「矢場とん」の「わらじトンカツ」。お店には名古屋グランパスやアビスパ福岡ファンだらけでした(笑)。今日は思いっきり応援したし気分も良い!とってもおいしい勝利めしでした。
東海東京証券は名古屋グランパスのダイヤモンドパートナーです。全社をあげて、1年でのJ1復帰を信じ応援してきました。その甲斐があり、J2という険しい「山」を登りきりました。来シーズンは新しく、より高いJ1という「山」を制覇できるよう応援していきます。
