第2回は損害保険の種類についてみていきたいと思います。

「自動車保険」「火災保険」「傷害保険」等はほとんどの方がご存知だと思いますが、その細かい内容や、その他の保険についてはご存知ない方もいらっしゃると思いますのでご説明していきます。

自動車保険

全ての自動車・原動機付自転車に加入が義務付けられている「自陪責保険」と、上乗せとしての自動車保険(任意保険)があります。
  
自賠責保険は事故の被害者に対する補償のみで、他人の財物に損害を与えた場合や自分自身については補償されません。
死亡 3,000万円まで、傷害 120万円まで、後遺障害 75万~3,000万円(後遺傷害の状況によって異なる)までと限度額が設定されています。また、事故の被害者と交渉してくれる「示談代行サービス」もついていません。

《自動車(任意)保険の種類》

①対人賠償保険

契約した自動車の事故により、他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に相手方の治療費や慰謝料等を補償します。

②対物賠償保険

契約した自動車の事故により、相手の車や壁・電柱など他人のモノを壊してしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償します。

③人身傷害保険・搭乗者傷害特約

契約した自動車の事故により、車に搭乗中のご自身や同乗者の方がケガをした場合、死亡したり後遺障害を被った場合に補償します。
◇人身傷害:治療費や精神的損害などの実際の損害額の支払い
◇搭乗者傷害:あらかじめ決められた金額の支払い

火災保険

一戸建てやマンション・ビル等の「建物」と、建物の中にある家財や什器などの「動産」を補償します。それぞれに対して保険をかける事が必要になります。例えば「建物」だけに保険をかけた場合、受取ることができる保険金は「建物」が受けた被害の分だけです。
   
火災保険は建物等の用途により住宅用と店舗用に大別されます。
◇住宅用:住宅火災保険・住宅総合保険・団地保険 
◇店舗用:普通火災保険・店舗総合保険

住宅火災保険・普通火災保険の補償範囲を広くしたものがそれぞれ住宅総合保険・店舗総合保険です。住宅総合保険と同じ補償範囲でマンション等が対象になるのが団地保険です。補償されるのは火災だけでなく、主な範囲としては以下の通りです。

■地震保険

地震保険は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流出による損害を補償する地震災害専用の保険です。火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・拡大した損害は補償されません。地震保険は単独での契約ができず、あくまで火災保険に付帯する方式での契約となりますので火災保険への加入が前提となります。

傷害保険

「急激・偶然・外来」の事故による身体に負ったケガが対象となる保険です。
◇急激:突発的な事故から時間的な間隔なくケガに至る
◇偶然:事前に予知することができないもの
◇外来:身体の外からの作用によるもの、内部の病気ではないこと

《代表的な傷害保険の種類》

・普通傷害保険
・家族傷害保険
・交通事故傷害保険
・国内旅行傷害保険

《傷害保険の基本的な補償》

■死亡・後遺障害保険金

事故により死亡したり後遺障害を負った場合、一定の保険金が支払われます。

■入院・通院保険金

事故によりケガをして入院や通院をした場合、決められた日額の保険金が支払われます。

誤って物を壊してしまったり、人にけがをさせてしまった際に適用可能な賠償責任特約をつける事も可能です。
賠償責任特約を付帯していれば、第1回で例としてだした自転車で人にぶつかり、けがをさせてしまった場合も適用が可能です。

その他の保険

個人向けの保険としてはゴルフプレー中のホールインワンや他人をけがさせてしまった場合に備える「ゴルファー保険」、海外旅行中のけがや病気、手荷物の盗難に備える「海外旅行保険」等があります。また、自転車での事故増加に伴い「自転車保険」等も人気を集めています。(当然、自転車で人にぶつかり、けがをさせてしまった場合も適用が可能です。)さらにペットが入院・通院・手術をした時に保険金が支払われる「ペット保険」も、ペット保険専用会社等で売り出されています。
   
法人向け保険としては普段聞きなれない以下のような保険もあります。

■施設賠償責任保険

映画館の誘導ミスにより観客にケガを負わせた等、施設の管理に伴う対人・対物事故に対応する保険

■請負業者賠償責任保険

請負業務遂行中に発生した対人・対物事故などに対応する保険

■生産物賠償責任保険

飲食店での食中毒事故や製品・商品のPL事故や仕事の結果が原因で発生した対人・対物事故に対応する保険

■自動車管理者賠償責任保険

駐車場や修理工場等で預った自動車を破損したり、盗難にあった場合の損害賠償責任に対応する保険

■建設工事保険

住宅・ビル等の建築工事現場における火災等事故により工事の目的物などに生じた損害を補償する保険

多くの保険があり、掛け忘れのないように保険を填補する事が重要になりますが、一方で前出の「賠償責任特約」等は傷害保険の特約・火災保険の特約・自動車保険の特約としても付帯されている事が多く、補償が重複しやすい保険(特約)です。
保険料は高いものではありませんが、一度皆さんも保険証券等でチェックしてみてはいかがでしょう。その際に「示談代行サービス」が付帯されているかも、あわせて確認してみてください。このサービスが付帯されていない場合は、ご自分で事故の相手方と交渉しなければいけません。

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