去る8月5日に行ったトヨタFS営業部「特別セミナー」は、大盛況のセミナーとなりました。
今回、講師としてお越しいただいたのは、資産運用に関心のある方なら一度はお話を聞いてみたいと思えるお二方。「優待生活」の桐谷広人さんとスパークス・アセット・マネジメントの秋山史人さんです。

桐谷さんは言わずと知れた有名人。生活に必要なあらゆるものを株主優待で賄っておられるというすごい方です。そのほのぼのとしたキャラクターでテレビでもおなじみの方ですので、みなさんよくご存知ですよね。
秋山さんは知る人ぞ知る運用のプロフェッショナル。優秀ファンドを次々と生み出すスパークス・アセット・マネジメントでチーフ・ストラテジスト*として活躍されている、これまたすごい方です。
スパークスは、あの世界的投資家ジョージ・ソロス氏に運用を託された日本人として有名な阿部修平氏が代表を務める運用会社。今後の株式市場をどう考えているか、ぜひ聞いてみたいですね。

場所は真夏のフォレスタヒルズ。プールで水しぶきをあげるご家族連れを後目に、約200名のお客様が、桐谷さん秋山さんの熱い講演に耳を傾けました。

*ストラテジスト:投資戦略を考える専門家

【第一部】桐谷広人 氏
株式投資の魅力~桐谷広人の株式投資術と株主優待生活~

第一部は桐谷さん。
「株主優待」の魅力を存分に語ってくださいました。
株主優待はどちらかというと「おまけ」的なイメージで捉えてしまいがちですが、桐谷さんは投資先を選ぶための重要な指標のひとつであると説きます。

・株主優待を金額に換算すれば、配当金も合わせて年率5%~10%になるものもあり、とてもお得。

・株主優待が充実している企業の株式は値下がりしにくい傾向にある(投資家があまり売らない)。また、株主優待は生活にハリを与えるともおっしゃっていました。

・優待券を使うためにいろいろなところに出かけるようになり、心と体の健康につながる。

・自分で使いきれないため、家族や友人を誘うようになり、周りの人との友好関係が築かれる。

棋士時代のこぼれ話、ご自身の経験談なども交えた、楽しく為になる1時間でした。
講演後には、セミナー参加者との写真撮影会もご用意くださり、桐谷さんの前に長蛇の列ができました。参加者のみなさんは桐谷さんとVサインで納まった写真に大満足のご様子でした。
実は講演直前に、桐谷さんから「自転車ありませんか?」とお声掛けがありました。
桐谷さんのトレードマークでもある自転車。もしあれば、自転車で登壇というパフォーマンスでお客様を沸かせようとお考えになった様子。自転車を用意できず実現はできませんでしたが、とても気さくでサービス精神旺盛なすばらしい方でした。

桐谷さん、ありがとうございました。

【第二部】秋山史人 氏
歴史的デフレの終焉とインフレ時代の幕開け~スパークスの日本株見通しと投資戦略~

第二部は秋山さん。
2012年第二次安倍政権発足以降、順調に値上がりしてきた日経平均株価。今年に入ってからは2万円台で横ばいの状態が続いています。今後、まだ上がるのか?それとも下がってしまうのか? 投資家にとって、気迷いが生じる市況です。
そんな投資家に対し、秋山さんはインフレというわかり易い切り口で「日本の株式市場は長期の上昇サイクルに入っている」と明快に見解を示されました。

・異次元緩和によりマネーは膨張している(インフレが始まりつつある)。

・1929年の世界恐慌時にも同様のマネーコントロールにより景気が回復、長期大幅な株価上昇がもたらされた。

・日本企業の収益体質や財務体質は日経平均株価が4万円近かったバブル期よりも良好な状態になっている。

・諸外国の株式に対し日本株式は相当な割安水準にある(米国に対しPERは2/3、PBRは1/2)。

・第四次産業革命は既に始まっている(人工知能・ロボティクス・IoT等)。

運用のプロによる理論的で力強い解説に、あらためて「株式を保有しないリスク」を認識する1時間でした。
長年トレーダー・ファンドマネージャーとして世界の金融市場と対峙してこられた秋山さんの言葉はひとことひとこと説得力があります。思わず、うんうんと声に出して頷いてしまうほどでした。

秋山さん、ありがとうございました。

価値ある講演に会場は熱気で満ち溢れました

日頃の生活に近い視点からお話くださった桐谷さん。
世界の金融マーケットを見つめるプロの視点からお話くださった秋山さん。
株式投資の有用性をしっかりと実感できるセミナーでした。

セミナーが終わり桐谷さんを名古屋駅までお見送りする際、車の中で、みなさまからのご質問に対する回答や投資持論を教えていただきましたので、ご紹介します。

番外編①
みなさまからのご質問に対する桐谷さんの回答をご紹介!

Q. 優待の最新情報を知るにはどのような手段がありますか?

A. 「適時開示情報閲覧サービス」を利用しています。
インターネットが活用できる方であればすぐに調べられますよ。キーワード検索で「優待」と入れて検索します。
全くない日もありますが、2~3銘柄は掲載されていることが多いです。夕方検索して「優待廃止に関するお知らせ」があるとショックですよ。

Q. 暴落した場合、撤退する明確な指標はありますか?

A. 今回のセミナー中にはお話しできませんでしたが、私は損切をしない主義です。
昔、信用取引をしていて、バブル崩壊後に決済の為に、仕方なく損切して、その直後に日経平均が史上最大の値上がりになった事があったんです。その時に、「もう少し我慢して持っていればよかった」と思ったんです。その体験があってから損切はしなくなりましたね。
ただ、損切が大事と説く方もいらっしゃいますよね。
過去に、利益が出ていてこそ証券会社に手数料を支払って売却するのは当然ですが、「損切するのに手数料を取るのは証券会社の陰謀だ」と言って証券会社に怒られたこともあるんですよ。

Q. 優待が廃止になったらすぐに株を売却しているのですか?

A. 優待が廃止されてなくなった時には、買値より上がっていれば売却もします。買値より下がっていれば、そのまま持っている事が多いですね。

Q. 初心者は何に気をつければいいですか?

A. 余裕資金で投資すれば、値段が大きく下がったとしても損切をしなくて済みますよ。あとは安いところで買うということ、私は年初来安値の銘柄から、良い優待がないか探したりもします。

Q. 投資信託はお持ちですか?

A. バブルのころは沢山保有していました。今は一つだけ保有しています。

Q. マツコ・デラックスさんは大きいですか?

A. これはよく聞かれます。大きいですね。

Q. 優待が使い切れないなら配当がいいのでは?

A. その通りなのですが、ただ配当だけで4%は60銘柄しかないですからね。分散投資にはならないかな。

Q. 優待券を利用するときの注意点は?

A. 優待の締切の日に使い切ることも多いのですが、最終日に食事に行ったら店が改装中で使用できず、他の店舗を廻ることになったりします。何店舗か廻って使い切りましたけどね。
また、優待期限が変更になっていて、気がついた時には期限が過ぎていたりとか・・。そんな時は一応発行会社に連絡してみます。対応はまちまちですが、使えるように手配してくれる事もありましたから。

番外編②
桐谷さんの投資持論をご紹介!

【桐谷さんの投資持論】
私の投資方針は昔見たテレビの光景とか漫画からヒントを得ているんですよ。
沢山の銘柄に分散投資をしているのは、小学生の時に読んだ鉄腕アトムの漫画で、『宇宙ヒョウの巻』というのがあって、ロボットや機械のエネルギーを吸い取ってしまう「豹の形をした宇宙生物」に対して、アトムをはじめ多くのロボットが集まって撃退する話です。
「小さいロボットでも沢山集まっていれば、一部がエネルギーを吸われ、やられてしまっても、その他が沢山集まっていれば助けてくれるので大丈夫」と思ったんですね。今の投資方法のように、多くの銘柄を持っていれば、いくつかの銘柄が値下がりしても大丈夫じゃないかと思っているからです。
まあ、多くの銘柄を持っていても、バブル崩壊の時はすべての株が下がったのでダメでしたけどね(笑)。

もう一つ、投資方針となっているは、ボクシングのヘビー級王者ジョージ・フォアマンと挑戦者モハメド・アリが対戦し、アリが劇的な逆転KO勝利をおさめた試合です。
フォアマンが試合開始から猛攻を仕掛けて、アリはサンドバッグ状態でフォアマンの強打を浴び続けましたが、フォアマンが強振を繰り返して体力を消耗した結果、動きが緩慢になり、アリの一瞬の連打によって大逆転負けを喫する結末となったのです。
株が暴落したとき、自分もハモハメド・アリのようにひたすら絶え、そのうち株が暴落し疲れて上がっていくのを待つんです。その結果、ある銘柄は28年かかって買値まで戻ったものもあるんですよ。実は絶対に買値に戻りそうにない株も持ってるんですが・・(笑)

また、昔はパソコンなども無かったので、銘柄を多数保有すると管理できないので良くないとも言われていましたが、今はパソコンもあるのでどんどん銘柄が増えても管理も出来る様になって良くなりましたね。

株式投資の値上がりを狙う投資は「狩り」の様なもので、優待重視の投資は「農業」だと思うんです。 人類歴史のなかでも、昔は狩猟民族で、空腹を満たすことが大事で、文化文明まではいかなかったが、その後人々が農業を覚えることによって、安定して食物を得る事が出来る様になったと思うんです。株式投資も同様に値上がりばかりではなく、優待+配当で、とにかく「優待がくればありがたい」と考えるようにしています。 値上がりを狙う投資をすると、急激にもうかったりすると本業の仕事に影響することもありますからね。優待投資にしてからは、昼間の株価も気にならなくなりました。

東海東京証券は、これからも皆様のお役に立つセミナーを企画していきますので、是非、ご参加ください。

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